フランス自然派ワインの生産者グループ「Recreation(ルクレアシオン)」の21ワイナリーが一斉に来日し、東京、大阪にて試飲会が開催されました。そのなかに「ドメーヌ・ド・ラ・ガランス」キノネロの姿がありました。グラスのなかにラングドックの自生ハーブの香りが咲き、葡萄そのものの凝縮感が口のなかいっぱいに広がる…そんなワインの造り手、キノネロの魅力に迫ります。
— まず最初に…キノネロさんがワインを造るうえで大切にしていることは、何でしょうか?
キノネロ(以下 Q):環境を尊重しています。自然のサイクルを乱さず、その流れを大切にしています。
— うーん、その環境を大切にするというのは、具体的にどのようなことなのでしょう?
Q:地球に住む人間として、そこに敬意をはらうことは当然のことだと思います。ですから、地球を汚さない人たちが多ければ多いほど、地球にとっては良いことですよね。ということは、すばらしいワインを造るには、そうせざるえない…そういう努力をしないで、偉大なグランヴァンの創出はありえません。
— そのとおりだと思いますが、自然に根付いた形での葡萄栽培は、大変な労力が必要ですよね。これまでに違う栽培方法を実践したことはないんですか?
Q:私は、化学肥料や農薬に頼った栽培方法を必要としません。そうすることによって自然や大地、そして葡萄との接点を失うことになってしまいますから…。機械を使うとしても環境を破壊しないようなモノを使うか、手作業で栽培を行っています。私自身がビオでなくてはなりません。
— なるほど…私も考えさせられます。では、そのほかに技術的な面でコダワリもありますか?簡単にお願いします。
Q:醸造するときに一番大切にしているのは、葡萄です。一年という長い期間かかって成長した葡萄ですから、せっかくできた作品の成果をきちんと反映させてあげることを大事にしています。
— 醸造する上でのコダワリについて、少し具体的に教えて下さい。
Q:収穫をした葡萄は、手摘みしローラー式の台の上で選果してから、セメントタンクに入れます。タンクが一杯になった時点で葡萄をフラージュ(破砕)するのですが、伝統的な方法を引き継ぎ足で踏み潰しています。
— キノネロさんのワインには、『LES ARMIERES(レ・ザルミエール)』=「幸福の妖精」、『LES CLAVIER(レ・クラヴィエ)』=「鍵盤や広がり」という素敵な名前がついてますよね。そのネーミングは、どんな時に考えるんですか?
Q:実はCLAVIERとCLARAというのは、私の愛する家族の名前なんです。ワインを造るとき、その人や地に思いを馳せています。
— 家族の名前といえば、なんと言っても愛娘の名前のついたワイン『A CLARA(ア・クララ)』ですよね!
Q:娘のクララは、白ワインの葡萄の収穫の真っ最中に産まれました。私の造っているワインは、長期熟成型のワインが多かったのですが、造って3〜4ヶ月ですぐに楽しめるワインも造ってみたいと考えている時でした。ちょうど葡萄が収穫されてきて、それをどうするか、一晩だけ考える時間がありました。次の日、圧搾をしてみるとその色は淡い美しいピンク色で、産まれてきた娘のイメージとリンクしました。それで『A CLARA(クララへ)』という名前のワインになったのです。
— ほかにも娘さんがいらっしゃると聞きましたが、もしかして…今後、その名前のワインのリリースとかあったりして?
Q:実は、もうできています。帰仏してから瓶詰めするワインがあるんです。まだ名前は付いていないんですが、もう一人の娘「コリンヌ」への想いが詰まったワインです。
— ぜひそのワインの特徴を教えて下さい。
Q:このワインは、『ア・クララ』とは違って娘が産まれる一年前から造り始めました。グルナッシュ・ノワール100%のワインを造りたかったんです。2003年は、その品種を造るのに非常に適した年でした。あまりにも力強いグルナッシュができたので、『レ・ザルミエール』よりも1年長い熟成期間を必要としました。このワインは『レ・ザルミエール』とは、いろんな意味で違う方法(場所、期間、方法など)を用いて造っています。