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コート・デュ・ローヌの超お値打ちワインといえば、『シャトー・レ・キャトルフィーユ』フレシア兄弟の造るビオワイン。

ロマン・フレシアのプロフィール
専門バカロレアワイン栽培学取得。幼い頃より父の指導のもとワインに親しみ、ごく自然に家業であるワイン造りの道に進む。子供の頃、すでにトラクターを運転していたらしい。オランジュ農業学校卒業後、ポン・サン・テスプリのドメーヌや自社シャトーで醸造技術を習得。シャトーヌフ・デュ・パプにあるドメーヌ・ドゥ・ボールナールでさらに栽培から醸造の経験を積み、シャトーに戻る。
ロマン・フレシアから動画メッセージ
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インタビュアープロフィール
バブルの落とし子。ブランド志向の20代を過ごし、30代半ばにして本当の心の豊かさを求め、シンプルライフに目覚める。モノを見極める審美眼は周囲からの評価も高く、数多くの執筆を手掛ける。おいしいものへの追求も人並み以上なのだが、アルコールが得意でないため、ワインには量より質を求める。好きなワインのタイプは、ヴァン・ナチュレルの白。映画会社、レコード会社、出版社などを経て、WEB・モバイルプランナー、エディター、ライターとして活躍中。2012年1月にオープンした自然派ワイン専門店『pcoeur(ピクール)』のプロデューサーを担当し、現在、オーナー兼店主を務める。
 
【編集・執筆】池田 あゆ美|オフィス アイダブリュー
// Office AIW // オフィス アイダブリュー

『シャトー・レ・キャトルフィーユ』のワインは、「カリテ・エ・プリ」コストパフォーマンス抜群。

最高の「カリテ・プリ」を実現するために

フランス語に「カリテ・プリ」という言葉があります。それは、品質と価格が優れた商品に使われる言葉です。まさしくこの表現にぴったりなコストパフォーマンスの高いワインがあります。1715年創業、300年の歴史を持つ「シャトー・レ・キャトルフィーユ」のワインを造り出しているのは、若きフレシア兄弟。1月、初来日を果たした2人に「カリテ・エ・プリ」実現のための努力について伺いました。2人の造るワインの秘密、魅力に迫るインタビューです。

フレシア兄弟の弟ロマン。ディオニーでも人気のビオワインの造り手である。

— ブドウ栽培をビオロジックに切り替えて10年になりますね。

ロマン(以下 R):ビオロジックに切り替えたことで、ワインの味わいにテロワール、そして果実そのものの味わいが表現できるようになり、アロマに凝縮感が出るようになりました。そして土壌を化学薬品などの有害物質で汚染しない、地球環境に優しい農業の取り組みができていると実感しています。それは、地球の大切な資源である水の節約にも繋がっています。

— ビオロジック栽培で味わい以外に、大きな変化はありましたか。

R:畑での仕事が増えたことが、大変ですね。3月中旬頃から本格的に始まる畑を耕す作業、畑の畝を掘り起こし、土に新鮮な空気を含ませ生態系を蘇らせる仕事があるんですが、これに労力と時間がかかります。この仕事は、3月だけでなく年間3回から4回行います。それから、害虫の防除や病気などに対して、畑の維持やメンテナンスを行うのが大変です。

— 害虫防除には、フェロモン剤を使用していますよね?

ヴァンソン(以下 V):はい。害虫防除に使用しているのは、生態系のバランスを崩さない環境負荷の小さいフェロモン剤(性撹拌剤)だけです。これは一種類の害虫にしか効果を発揮しません。それ以外にも、畑には様々な害虫が発生しますし、うどんこ病などの病気にも気を配らなくてはなりません。

— コート・デュ・ローヌでのブドウ栽培は、ミストラル(強い北風)の影響が大きいですよね。ミストラルが重要な時期は、いつ頃ですか。

R:ミストラルは、ブドウに余分な水分を与えないために重要な存在です。そして大地を乾燥させ、乾燥によって病気(うどんこ病)から防いでくれる自然の恵みです。ただし、開花の時期(5月中旬から下旬)は例外的にミストラルが吹かないことを祈ります。ミストラルによって、開花に乱れが生じてしまうんです。

キャトルフィーユの畑。

— カリテ・プリ(品質と価格が優れた商品)のために努力していることはありますか。

V:価格をあげないために、つねに努力しています。瓶やコルク、エチケットなどプロダクトにお金をかけてしまったら、価格はいっきに跳ね上がってしまいます。だから、そのための企業努力は惜しみません。そして、何よりも私たちの環境は恵まれていると思います。それは、300年も続くシャトーであり、今も家族経営によって営まれていることです。そのことがコストパフォーマンスに繋がっているのではないかと思います。

— 300年の歴史を持つシャトーの強みは、ほかにもありますか。

V:新たにシャトーやドメーヌを始めるためには、畑、醸造施設など全てのものを揃えなくてはなりません。そしてワイン販売のためのルートや市場を開拓しなくてはなりません。でも私たちには、全てが揃っていました。それが私たちの強みです。そしてこれら全てとエスプリを後世に引き継いでいくことが、私たちの使命だと思っています。