I:それでは、引き続きエチケットのデザインについて、アロンソの奥様であるキャリンヌさんにお伺いしたいと思います。
キャリンヌ(以下 C):『ロゼ ローガズーズ』は、微発泡のとっても爽やかなロゼペティアンです。この味わいから、1920年代に流行ったレモネードのラベルがエチケットの起点となりました。そのレトロでシンプルなデザインをベースに、中央には古き良き時代であるベルエポックの文字を再現し、配置しました。『L'O GAZEUSE』という名前には、ちょっと洒落を利かせました。O=酸素を補給すると、疲労を回復するという効果があるように、これを飲んで元気になって貰いたいという想いを込めました。
I:実は、アロンソさんは、自然派の微発泡ワインの専門家なんですよね。ドメーヌを立ち上げる前にも、非常に評価の高い微発泡ワインを造っていたという経緯があります。
C:『ヴュニュムデイ・マコン・シャントレ』の「VINUMDEI/ヴュニュムデイ」というのはギリシャ・ラテン語で神のワイン、日本で言うところの御神酒という意味でしょうか。2003年は、暑い年でしたので、それをエチケットの色で表現しました。『ランティティーズ・マコン・ヴィラージュ』は、飲んでいただくとご理解いただけると思うのですが、酸化しているような味わいがジュラのワインにちょっと似ています。ですので、エチケットの下に「よりテロワールを感じさせるワイン」という意味の言葉を記しました。
A:これは、まさしくジュラのサバニャン種で造ったワインと同じような、酸化した味わいです。88ヶ月酸化熟成して造りました。このワインは、長熟タイプで30年から40年は、充分熟成できます。シャルドネ100%で、酸と果実味のバランスが非常によいワインだと思います。
C:『ボージョレ・ヴィラージュ』は、エチケットの下に「contient du raisin = ブドウ100%で造っています」と記しています。私たちにとっては、当たり前のことですが、当たり前の行程で造られていないワインもあります。ですから、私たちのワインには、ブドウ以外のものは全く入っていないという意味を込めたのです。
A:ボージョレ地方で、自然派の栽培をしているのは、たった1%なんです。そのなかでも、モルゴンの一番標高の高い所にある畑は、マグネシウムや花崗岩、そして粘土石灰質を含んだ、特殊で複雑な区画です。そこで栽培されたブドウで造られているので、非常に複雑さに富んだ味わいがあり、さらに複雑さが絡み合った魅力的な香りのワインに仕上がっています。
C:先程、アロンソが1929年に植えられたガメイの古樹の話をしましたが、『マコン・ルージュ』のエチケットは、その想いを形にしたものです。引き抜かれていくブドウの古樹を、白人たちが現住民であるインディアンを迫害、土地も生命も文化も奪ったという歴史に置き換えています。エチケットに、インディアンが流した血の痕をデザインしたのは、インディアンのように引き抜かれて殺された古樹もあるけれども、救われた古樹で造ったワインであるということを表現したかったのです。
A:このワインは、同じ畑で同じ造りをしても全く違うワインになってしまうというヴァン・ナチュレルの特徴をご理解いただくのに、一番適したワインではないでしょうか。2005年と2006年の試飲をしていただき、その違いをぜひ比較してみて下さい。
C:『ボージョレ・ヴィラージュ・ヌーヴォー』のエチケットには、1890年代のボージョレの写真を使いました。馬で耕し、すべて手摘みで行っていた当時の畑作業の様子をご覧いただけると思います。そして、2007年のボージョレの解禁日を切手に記しました。
A:普通のボージョレ・ヌーヴォーは、いろんな畑から収穫したブドウや若い樹から採れるブドウで造る場合が多いのですが、一つの畑、区分から収穫されたブドウだけで造ったのが、このワインです。しかも自然酵母を用い、アルコール発酵前の酸化防止剤の添加は一切しておりません。本当にナチュラルなボージョレ・ヌーヴォーです。たった10000本しか醸造していない、日本限定のワインです。