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パリのワインマニアの間でも注目の造り手ギヨーム・レイヌアール。ビオディナミ農法で自然の循環を尊重したブドウ栽培を行う。ワインには、テロワールの個性とともに、筋の通った彼のキャラクターも反映され、酸のキリっと通った爽やかな味わいのワインに仕上がっている。

ギヨーム・レイヌアールのプロフィール
小島のように分散しているソミュール地方の畑のなかでも南西端に近く、トゥエ川左岸に位置するル・ピュイ・ノートル・ダム。ギヨーム・レイヌアールが中世の面影を残すこの村に運命的なものを感じ、ブドウ畑を購入したのは1995年のこと。ビオディナミ農法を取り入れ、自然の循環を尊重したブドウ栽培を行う。ワインには、テロワールの個性とともに筋の通った彼のキャラクターも反映されている。
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インタビュアープロフィール
バブルの落とし子。ブランド志向の20代を過ごし、30代半ばにして本当の心の豊かさを求め、シンプルライフに目覚める。モノを見極める審美眼は周囲からの評価も高く、数多くの執筆を手掛ける。おいしいものへの追求も人並み以上なのだが、アルコールが得意でないため、ワインには量より質を求める。好きなワインのタイプは、ヴァン・ナチュレルの白。映画会社、レコード会社、出版社などを経て、WEB・モバイルプランナー、エディター、ライターとして活躍中。2012年1月にオープンした自然派ワイン専門店『pcoeur(ピクール)』のプロデューサーを担当し、現在、オーナー兼店主を務める。
 
【編集・執筆】池田 あゆ美|オフィス アイダブリュー
// Office AIW // オフィス アイダブリュー

自然に即してなお人間的フレッシュな味わい

自然に即してなお人間的フレッシュな味わい

― ビオディナミ農法で影響を受けた人はいるのですか?

G:私の周りには、マルク・アンジェリ、「シャトー・トゥール・グリーズ」のフィリップ・グルドン、「ドメーヌ・モンティリウス」のエリク・ソレルやジョエル・メナールなど、たくさんのビオディナミストがいます。そのなかでも一番身近にいて助けてくれる生産者であり、目標としている人は「シャトー・トゥール・グリーズ」のフィリップ・グルドンです。ビオディナミ農法については、ただ彼の手法をまねるだけでなく、自分の心に即して実行に移しています。

― ビオディナミ農法において何を大切にしていますか?

畑の全景

G:ワインはブドウから出来ています。ということは、ブドウがすべてを決めるのですから、畑の作業がとにかく大切です。その畑の作業のなかで、何を大切にしているかを一言で答えるのは難しいですね。1本1本のブドウの樹を尊重しながら、剪定や収穫など作業のタイミングを見極め、1年を通して思いを込めて仕事を進めています。その結果がワインの基盤となります。畑の仕事はひとつひとつの作業に意味がありますが、そのとき自分が下した判断に対する結果は、その年すぐにワインの味わいに反映されるという訳ではなく、3年から5年、またはそれ以上経過してみないと解らないものです。ですから、日々畑に立ちブドウと会話をしながら、試行錯誤を繰り返して進んでいくしかないのです。
例えば、畑の土が年をとって、何かが欠乏してきたとします。その問題に対して、すぐに何かを与えるだけでは対症療法で終わってしまう。調剤を散布して土が生まれ変わる手助けをし、自然や生態系の反応を長期的視点で観察する必要があるのです。もっと言うならば、私のル・ピュイ・ノートル・ダムの畑には、先人の代からのカベルネフランやシュナンブランが植わっていますが、この畑の土壌に本当に最適な品種が植わっているのか、適地適作の見極めにも時間が必要です。

― 醸造において大切にしていることは何ですか。

G:ブドウが健全に美味しく育っていれば、醸造ではなるべく手を加えない方が良いのです。自然に任せることが一番だと思っています。その方がワインにも良い結果となって現れますからね。もちろん、仕込みの前に選果をするとか、ブドウがワインに変わる過程で次のプロセスに移る時期、例えばタンクから出して圧搾にかける時期というようなタイミングを見極める必要はありますが、やはりワインの基盤となるのは健全なブドウです。

― ワインの味わいには造り手のキャラクターが反映されると思うのですが。

G:私のキャラクターは、一言で簡単には語れませんよ(笑)自分の求める味わいは、酸のキリっと通った爽やかなワインです。そんな味わいに現れるのは、私の表裏がなく正直な性格、そして有言実行という部分でしょうね。それは、畑の状態からも嘘のないことをご理解いただけると思います。近年の気候の変化をみていると、自分の求めるフレッシュなワインが徐々に造りにくくなってきています。ですから、状況を見極めアルコール度数が高くなりすぎず、酸が程よく残っている段階で収穫するように努めています。

― ここにあるワインの説明をお願いします。

ソミュール・シャピトール・ブラン

G:『ソミュール・シャピトール・ブラン2009』は、シュナンブラン100%のワインでバリック樽にて発酵させています。木樽を使用していますが、木の香りを極力残さないように仕上げています。基本的にはセックなワインですが、2009は、残糖成分が高かったためソミュール格付けではなくアンジュになりました。
『テット・ア・クラック・ロゼ』は、アルコール度数8.5%のときにフィルターをかけ野生酵母を除き、瓶詰めします。そのときミクロボールを用い、瓶内2次発酵を促します。ブドウの果実味が溢れる2009、果実味のなかで爽やかな酸が味を引き締めている2010のミレジムの違いを楽しんでみて下さい。
『ソミュール・バガテル・ルージュ2010』は、私の醸す赤ワインのなかでもベースとなっているアイテムといえます。カベルネフラン100%のワインで、味わってみると、少し青い感じがするかもしれませんが、これはフレッシュ感を出すためにあえて残しています。私の重視している酸の通ったフレッシュな味わいがここにあります。

― 日本の皆さんにメッセージをひとこと。

G:日本の食文化を理解していない私が日本の皆さんにアドバイスをするなど恐れ多いのですが、私のワインは、難しく考えず、あなたのインスピレーションに任せて飲んでいただきたいと思います。仲の良い友達や家族でテーブルを囲んで美味しいワインで楽しい時間を過ごしてください。ワインは頭でなく、飲んで楽しむものですから。

― 本日はありがとうございました。
ギヨーム・レイヌアールは、ブドウ畑を案内しながら、おもむろに土を手で掘り、テロワールの特徴でもあるトゥファという石灰岩の石やこの丘にトゥエ川が流れていたころの名残である小石を手のひらに乗せ差し出しました。そして、これらの石がワインに塩分のようなミネラル感をもたらしていると教えてくれました。彼の眼差しは、語ります……ワインはブドウとテロワールの恵みだけでは成立せず、人の知恵と仕事との連鎖があってこそ生まれると。ブレない軸の強さと優しさを持つ男ギヨーム・レイヌアール。彼は、ワインの味わいでもさりげなく優しく、そして芯のある味わいで私たちを包み込むのです。

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