ふたたびこんにちは!
ディオニー輸入チームのなーさんです。
「Bcorp認証取得への船旅」本船Diony Bcorp号は、2024年6月に日本を出航し、どんぶらこと波に揺られ、第1中継地へ到着しようとしています。
さて、私たちはどんなふうにアセスメントを進めていくのでしょうか?
前回の記事はこちら
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BIAってこんな感じだったのか
Bcorp取得プロジェクトを開始し、この道のりが決して平坦ではないことを初日の15分くらいではっきり確信しました。
BIA(B Impact Assessment)は5つのセクションに分かれています。
・Governance (統治): 会社のミッション、倫理、説明責任、透明性など
・Workers(従業員):労働環境、公正な待遇、福利厚生、教育・研修、安全性など
・Community(地域): 地域社会との関わり、多様性、公平性、サプライヤーとの関係性、寄付・ボランティア活動など
・Environment(環境):環境負荷の把握と削減、再生可能エネルギーの使用、リサイクル活動、環境に配慮したサプライチェーンなど
・Customers(顧客): 提供する製品・サービスが社会的・環境的に価値をもたらしているか、顧客の福祉を考慮しているか
この5つのセクションから問題が出され、回答ごとに点数が加算されます。認証取得には200点満点中80点の得点が必要とされるのですが、オペレーションスコアと言われる通常の点数は1問あたり0.3点とか0.47点などとかなり細かく、「途方もない積み上げ感」に苛まれます。さらに私たちを悩ませたのは原文の英語がどんな意図を尋ねているのか読めず、日本語に訳しても真意が掴めず、もやもやとしながら回答することが多かったことです。
実際にGovernance (統治)セクションから設問を見てみましょう。
設問「会社のポジティブな影響を創り出すアプローチを説明してください」
答えは下記から選びます
① 社会や環境に良い影響を与えることは、私たちのビジネスの焦点ではありません
② 私たちは、事業のいくつかの側面が社会や環境に与える影響について時々考えますが、頻繁ではありません
③ 私たちは社会や環境への影響を頻繁に考慮しますが、意思決定において優先順位は高くありません
④ 社会と環境への影響をビジネスの成功と収益性にとって重要と考えており、常に意思決定に社会と環境への影響を組み込んでいます
⑤ 社会および環境への影響を事業の成功を測る主な基準として扱い、それが収益性の向上につながらない場合でもそれを優先します
これは一番最初のセクションであるGovernanceの最初の設問で、私たちはよく「一丁目一番地」と呼んでいました。なぜなら、会社の意思決定に関わる重要なはじまりの設問であるからです。それは分かっているものの、②でもあり③でもある気もする、④もあると言えばあるのかもしれない、とひとつに照準を絞ることに散々迷い時間がかかります。この選択により後の設問数や内容が変わってくる可能性もあります。揺るぎない回答を出したつもりでも、別の日に見たらやはり違うように思えてきて選択肢を何度も変更しました。この選択肢に決めるということは、「将来そうなりたい」とはまた異なる、現実の私たちの姿であり、確固たるエビデンスが用意できるということなのです。
11ヶ月かけてBIAから見えたこと
Workers(従業員)セクションではこんな設問がありました。
「貴社では、専門能力開発のために従業員に以下の研修機会を提供していますか?」
新入社員研修はあっても、全社員に対するコア業務への継続的な研修、キャリアアップのためのクロススキルやマネジメント研修の枠組みが形成途中であり、自分たちが思っているよりまだまだ課題があることに気付かされました。
また、Community(地域)セクションでは
「あなたの会社のマネージャーのうち、他の過小評価されている社会的グループに属していると自認している人は何人いますか?」
BIAで度々出てくるこの“underrepresented=過小評価される人々”とは、女性、マイノリティ/これまで排除されてきた集団、障害を持つ人、低所得地域に住む人々を指します(Blab公式ページより)。我々の回答は「don’t know=わからない」でした。人種や性別などJDEI(Justice公正、Diversity多様性、Equity公平性、Inclusion包括性)の意識が薄いことも認識させられました。

一方、我々のビジネスモデルが評価に繋がるかも知れないと感じたものもありました。
Environment(環境)セクションでこんな設問があります。
「あなたの製品/サービスはどのような方法で環境を保護しますか?製品ラインごとに 1 つのオプションを選択してください」
ここで私たちは「土地や動物の福祉を保全または保護する(例:土地保護または森林再生サービス、持続可能な方法で収穫された農産物)」という回答に強い自信をもって〇を付けます。
なぜだと思いますか?
我々が扱っているワインは、その多くが除草剤や化学肥料を使わない有機農業を採用してるので、畑を中心とする天然資源の保全や生態系の保護につながっているからです。
さらに近年ではBIB(バッグ・イン・ボックス)と言われる輸送効率のよい箱ワインの輸入量が増えています。BIBは、ボトルと比較すると輸送時のCO₂排出量を40%前後削減します(当社比)。一定のCO₂排出が伴う輸入そのものがカーボンフットプリント(製品やサービスのライフサイクル全体で排出される温室効果ガスをCO₂に換算した総量)においてネガティブな要因であることをいつも認識してはいるのですが、昨今のBIBの輸入量の増加がEnvironment(環境)セクションでの評価につながりそうな気がします。

すべての設問に答えるのに、実に11ヶ月かかりましたが、どれも我々の等身大の回答であり、できていること、できていないこと、意識すらしていなかったことなど、ディオニーの立ち位置が客観的によく見えました。

③へ続きます・・・
●私たちの船は中継地に到着しました●




