こんにちは!ディオニーマガジン編集部です。今回はディオニーの実店舗(京都市中京区)、前田豊三郎商店のマネージャーである常森が登場します。店舗でお目にかかった方もいらっしゃるのではないでしょうか?彼ならではの目線で生産者の今に迫ります!
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ノイジードラーゼ 丘の上のワイナリーへ
ブルゲンラント州ノイジードラーゼは、2001年に世界遺産に登録されたノイジードル瑚に面する地域です。


ウィーンから南東へ高速道路で向かうこと約1時間。
風力発電機のプロペラ塔が無数に並ぶ穀物畑の中を走り、ノイジードル湖に近づくにつれ、一面ブドウ畑が広がっていきます。ゴルス村の町中を過ぎた国道沿いにユーディト・ベックのワイナリーが見えてきます。
丘陵地のブドウ畑を眺める素敵なワイナリーに到着。

ノイジードル湖の北岸にあたるエリアはブルゴーニュから来たシトー派修道士たちが開墾した丘陵地があり、ブルゴーニュ品種が有名です。
元々このエリアは白ブドウ品種が主流でしたが、一時期の赤ワインブームにより赤ワイン品種が急増しました。近年は白ワイン品種の栽培が見直されています。
ユーディトの畑があるエリアの土壌は多様性があり、各土壌の特性に合わせ品種を選択し品質向上を図っています。
例えば、丘の上の方は砂利質で水はけがよいため、湿気や病害に弱い皮の薄い品種(ピノ・ノワール、ザンクト・ローレント)を、中腹は砂質ロームと石灰質なので晩熟品種を、下部は黒土と砂利で肥沃なため、ツヴァイゲルトや白ブドウ品種を植えています。
いざ、畑へ
ワイナリーすぐ裏の畑ではツヴァイゲルトを栽培しています。
5月の開花前に葉を5割ほどカットしておきます。樹の生育が強すぎるため半分に落としてちょうどいいくらいなのだそうです。

丘の上の畑へ移動するとノイジードル湖が遠目に見えるテラスがあり、ペットナットで乾杯。
気持ちいい天気。週末でバードウォッチングをされる方やサイクリングを楽しむファミリーの姿も。湖が浅いため夏は水温が高くなりやすく湿度が上昇し、湿度が高いと病害リスクが増加するので、ブドウの周りの雑草を刈り風通しを良くしておくそうです。
ここではザンクト・ローレント、フルミント、ミュスカ・オットネルを栽培しています。


次に広大な畑の中を移動し、大きな木がある畑のエリアへ。

緑豊かな畑。大きな木が土壌の栄養や水分を多く取ってしまうので、木の周りのブドウは成長がゆっくりとなるのですが、木の根の周りには雨が上がった後にも水が留まっており、ブドウと共存できているとのことです。
しかし成長はやはり遅いので1本の木から4枝伸ばすところを2枝に制限して、ブドウへ行き渡る栄養を分散させない方法を取っています。
テイスティングからお食事へ
醸造所の見学のあとは、テイスティングを25種類しました。
特に印象に残ったのは、試験的に2年間寝かせておいたヴェルシュリースリング100%のペットナット2022。クリアなグリーンイエロー、ハーブ・青りんごのさわやかな香り、発酵からのパンやブリオッシュの香りも感じられる、ドライで泡は溶け込んでいて良いイメージでした。

「ウィーナー・シュニッツェル」
オーストリア発祥でドイツでも食されている代表的な肉料理。薄く伸ばした仔牛や豚肉に細かいパン粉をつけて揚げます。
ガレージで揚げたてをいただけることに。レモンスライスを添えると、さっぱりとした味わいに。またレッドベリージャムを付けると、塩味と甘みでまた食欲が増します。同行した一成さんは3枚も完食。私は2枚で満腹でした。シュニッツェルに添えたポテトマリネもジャガイモの味が濃かったです。

▲ポテトマリネのレシピ:じゃがいもが温かいうちに、少量のスープ、ヴィネガー、砂糖、塩、マスタードを加えてマリネする。よく混ぜて味が浸み込むのを30分待つ。冷めてからエシャロット、オリーブオイルを最後に加えたら完成。先に油を加えるとじゃがいもがそれ以上液体を吸収しなくなるため、最後に入れると味がなじみます◎
お出迎えから畑、醸造所、ティスティングと丁寧に的確にお話していただけるベックさん。
ご主人も途中から加わり2人揃って人柄の良い、一緒にいて楽しくなるような明るいキャラクター。ティスティングの後半から黙々と「ウィーナー・シュニッツェル」を外で揚げてくれていたご主人。準備はテキパキと、食べる時は楽しく。次々とワインを抜栓し会話と食事を楽しみました。