【クー・ド・フードル ピノグリ シュナンブール 2004】
リクヴィール村の北側に位置するシュナンブールの南東向きの急斜面に広がる特級畑で育ったピノグリを木樽で48ヶ月シュールリー熟成しました。琥珀色の外観に、杏ジャムやハチミツ、洋梨の甘い香りを感じます。熟成感ならではのトロリとした口当たり、芳醇な果実味にハッサクのピールのような酸が好バランスを生み、そこに上品な苦みがアクセントとなっています。マルクならではの余韻の長さはさすがの一言です。
ドメーヌ・マルク・テンペは、総面積8haの畑で93年からビオロジックを行っており、96年からビオディナミに取り組み化学肥料や農薬を一切使わず、芽かきによる収量制限や夏季剪定も行いません。アルザスの伝統的な大樽フードルと古樽の中、シュールリー(澱の上)で2年以上の熟成を経てリリースさせるところに彼の拘りが凝縮されています。
ー あなたのワインの歴史のなかでの進化とワインで表現したいものは、何ですか?
37歳でヴィニロンを始めました。それまで、I.N.A.O.(国立原産地名称研究所)で勤務していましたから、その仕事のお陰で、たくさんの造り手との出会いがありましたね。そこでの知識や経験、出会いを経てからのヴィニロンの歴史です。迷いもなく、ブドウの栽培は、最初からビオディナミ農法を取り入れました。私自身のヴィニロン人生の一番の進歩は、ビオディナミへの理解が深まったことでしょう。ワインに求めるのは、ミネラル感と繊細さです。醸造のテクニックでは、樽での長期熟成の方法が自分のなかでの変革です。澱を残したまま長期熟成させることで、複雑味と旨味、深みが増しました。熟成に関しては、もっと研究して進化させますよ。
ー ワインを造るうえで一番、歓びに感じていることは何ですか?
ヴィニロンの仕事は素晴らしい仕事だと誇りに思っています。なぜなら、自然との触れ合いがとても強い。そして、ワインを通して、その感動と情熱を世界の皆さんに届けられる。そういう感動のコミュニケーションが自分にとって何よりも嬉しいことです。
ー 日本のワインラヴァーの皆さんへメッセージをお願いします。
私と日本の皆さんとの関係は、とても長いです。私は日本という国、そして皆さんへの愛情に溢れています。 日本は自然災害が多い国です。ですから、くれぐれもお気をつけて、これからも末永くワインを楽しんでください。
ー ディオニーにお祝いのメッセージをお願いします。
15周年、おめでとうございます。私にとってディオニーは、10年をともにした同志であり、家族のような存在、そして愛情の結晶だと感じています。あなたたちを介して、日本を知ることをできたことも、とても感謝しています。これからも、ともに歩んでいきたいですね。本当にありがとう。