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シャンパーニュ地方への玄関口・ランスを起点にシャンパーニュ街道を南東に進むと、枝が曲がりくねり絡み合うブナの群生林で有名なフォー・ド・ヴェルジーの森があります。その森を抱くグラン・クリュ(特級畑)の村、ヴェルジーにムーゾン・ルルー・エ・フィスは、蔵を構えます。ドメーヌの歴史は、1776年に遡りますが、現当主のセバスチャン・ムーゾンは、6年間ワイン醸造学校で学び、ブルゴーニュでワイン造りの現場の研鑽を積んだあと、家業に就きました。2008年、運命の出会いによりビオディナミ農法に切り替える決意をし、ブドウの声と対話しながら妥協なきシャンパーニュ造りに日夜励みます。

シャンパーニュ地方への玄関口・ランスを起点にシャンパーニュ街道を南東に進むと、枝が曲がりくねり絡み合うブナの群生林で有名なフォー・ド・ヴェルジーの森があります。その森を抱くグラン・クリュ(特級畑)の村、ヴェルジーにムーゾン・ルルー・エ・フィスは、蔵を構えます。ドメーヌの歴史は、1776年に遡りますが、現当主のセバスチャン・ムーゾンは、6年間ワイン醸造学校で学び、ブルゴーニュでワイン造りの現場の研鑽を積んだあと、家業に就きました。2008年、運命の出会いによりビオディナミ農法に切り替える決意をし、ブドウの声と対話しながら妥協なきシャンパーニュ造りに日夜励みます。
特集ワイン
シャンパーニュ地方への玄関口・ランスを起点にシャンパーニュ街道を南東に進むと、枝が曲がりくねり絡み合うブナの群生林で有名なフォー・ド・ヴェルジーの森があります。その森を抱くグラン・クリュ(特級畑)の村、ヴェルジーにムーゾン・ルルー・エ・フィスは、蔵を構えます。ドメーヌの歴史は、1776年に遡りますが、現当主のセバスチャン・ムーゾンは、6年間ワイン醸造学校で学び、ブルゴーニュでワイン造りの現場の研鑽を積んだあと、家業に就きました。2008年、運命の出会いによりビオディナミ農法に切り替える決意をし、ブドウの声と対話しながら妥協なきシャンパーニュ造りに日夜励みます。
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ピノ・ノワールとシャルドネが植わる特級畑ヴェルジー

ピノ・ノワールとシャルドネが植わる特級畑ヴェルジー

小石混じりの白亜質の石灰質土壌は水はけがよく、ふくよかでミネラルを感じられるシャルドネに適した土壌であることが多いです

古くからシャンパーニュ地方の中心都市として栄え、歴代フランス王の戴冠式が行われた歴史の街、ランス。四つに分類されるシャンパーニュの栽培地域のなかの一つであり、北のランスと南のエペルネを結ぶように半円をゆるく描くように広がる銘醸地、それがモンターニュ・ド・ランスです。「平原」を意味するシャンパーニュに横たわる「ランスの山」…言葉通り、ランス市街地を離れると標高300mほどのなだらかな丘陵に、まるで櫛を通したかのような美しい緑のパターンのブドウ畑がパッチワークのように広がります。この地域は、シャンパーニュ特有の白亜の石灰質土壌は地表からかなり深いところにあり、ピノ・ノワールの栽培が多いのが特徴です。 モンターニュ・ド・ランスのなかでも、ピノ・ノワールにとって最高の畑の一つヴェルズネイ、そしてこの地域で唯一シャルドネを産出する孤高のプルミエ・クリュ(一級畑)トレパイユ、それらの村の中間に位置しているのが特級畑ヴェルジーです。そのため、この地はピノ・ノワールとシャルドネの二つの品種に適した土壌があり、一つの特級畑に二つの品種が植わるという非常に稀で恵まれた環境にあります。そして、ムーゾン・ルルー・エ・フィスのブドウ畑は、所有する10ヘクタールのほとんどがヴェルジーにあり、グランクリュで占められているということは特筆すべき点です。

生きとし生けるものを尊重する、結果としてのワインがある

生きとし生けるものを尊重する、結果としてのワインがある

一部の小さい畑では馬で耕している

ムーゾン・ルルーでは、セバスチャンの父の代からリュット・レゾネを実践し、ブドウ畑の畝の間に草を生やすなど農薬をさらに減らす努力をしていました。2008年、セバスチャンはビオディナミ農法に転換する決断をします。その理由について、セバスチャンはこう語ります。「ピエール・フリックのワインを飲み、彼の働き方に衝撃を受けたのです。彼とワインには、心を震わせるようなエネルギーがあった。それは、私の生き方を変えるには充分すぎる驚愕の出来事でした。」一瞬にしてビオディナミに魅せられたセバスチャンは、ルドルフ・シュタイナー、ピエール・マッソン、ニコラ・ジョリーの本を片っ端から読み漁り、ビオディナミの哲学や方法論を学びました。そして、すべての本を読み終えたとき、ピエール・マッソンに師事し、ビオディナミ農法を実践するスキルを体得します。 シャンパーニュの潮流として、アッサンブラージュやノン・ドゼなどワイン造りの技法に偏りがちですが、セバスチャンはワイン造りの基礎となるのは、やはり畑での栽培だといいます。彼にとってビオディナミは、まず生きとし生けるものを尊重し、健全な土壌と力に満ちたブドウを得るためのアプローチであり、その結果としてシャンパーニュの品質や味わいの向上があるのです。 今では、ブドウの樹が何を求めているのか、葉に触れればエネルギーの流れによりわかると語る、セバスチャン。ブドウの樹と対話をする並外れた感覚を持つ彼ですが、盲目的にビオディナミの精神性に傾倒しているという訳ではありません。それは彼の「ビオディナミは哲学であると同時に、半分は技術だ」という言葉からも明らかです。

ワイン造りの職人でなく、アーティストたれ

ワイン造りの職人でなく、アーティストたれ

モンターニュ・ド・ランス。「平原」を意味するシャンパーニュに横たわる「ランスの山」

ムーゾン・ルルーのシャンパーニュの味わいを特徴付けるポイントの一つに収穫のタイミングがあります。酸味を出すために早摘みする生産者も多いなかで、補糖をしないためにブドウが完全に熟すタイミングを見計らっての収穫にこだわります。品種や区画ごとに収穫日を決める訳ではなく、ブドウの成熟度合いで時期を判断します。そのため、収穫は何回かに分けて丁寧に選果しながら手摘みし、何日間も続きます。 また、醸造面でのアプローチも変え、それまで行なわなかったマロラクティック発酵(MLF)を採用しました。シュール・リーで6ヶ月熟成後、瓶詰めし、瓶内二次発酵させるのですが、これはビオディナミ農法によりブドウの味わいに変化が現れ、ヴェルジーの特徴のミネラルや酸の存在もパワフルに感じられるようになったため、酸を滑らかに柔らかくするために用いています。 醸造面での挑戦はそれだけにとどまりません。瓶内二次発酵の温度と期間は、25〜30℃で約15日間というのが一般的ですが、ムーゾン・ルルーでは約14℃の低温カーヴでゆっくり約60日間かけて発酵させます。そのことにより、泡はよりキメが細やかになり、泡の細かさゆえ、ワイン本来の味わいがダイレクトに感じられるようになります。これは、ワインに自信がなければ採用できない製法といえます。 シャンパーニュに欠かせないアッサンブラ-ジュ(ブレンド)について、セバスチャンはこう語ります。「アッサンブラ-ジュは、絵と似ています。どの区画のものを混ぜ合わせるのかは、色の配色や配置のようなもの。ビオを知るまでは、ワイン造りを職人的にこなしていた。けれど、今はアーティストたれ…と思うのです」

力強さと同時に繊細さの両立した味わい

力強さと同時に繊細さの両立した味わい

ビオでやっている全ての生産者全員を尊敬しています、と語るセバスチャン

ムーゾン・ルルーのブドウ畑は、北東向きの斜面に位置することで、ワインに繊細さをもたらします。それがヴェルジーの特徴といわれるフレッシュさやミネラリティと合わさり、セバスチャンいわく「力強さと同時に繊細さの両立した味わい」となって現れます。 セバスチャンがムーゾン・ルルーの250年の脈々と刻まれたエスプリに敬意を表し、ビオディナミ農法で造ったシャンパーニュが『ラタヴィック』です。黄金に輝く細やかな泡にくっきりとしたシトラスの香りとまろやかな赤リンゴの香りの複雑な一体感。粘土質土壌由来の粘りのある重量感と芯の太い力感、石灰質土壌由来の緊密な骨格とくっきりとした酸が高度に調和したミネラリーな味わいです。目を閉じれば、永遠に続くような長く滑らかな余韻があなたをシャンパーニュへの旅の世界へと誘います。 セバスチャンは語ります。「私にとってシャンパーニュは、エレガンスです。私のシャンパーニュには、愛ともいえる魂が込められています。その魂が、あなたの魂と出会ったとき、初めて共鳴します。口に含んだ瞬間、あなたの官能的な感覚を呼び覚ますシャンパーニュを私はお届けします。どうぞ、あなたの大切な人とその時間をお楽しみ下さい。」 ワインに対して痛いほど真面目で純粋なセバスチャン…彼の姿は、シャンパーニュの華やかさとは無縁なようで、確固とした自信とワインに対する溢れんばかりの愛情に裏付けされた、ひたむきな強さを感じさせます。伝統から育まれる革新…その揺るぎのない魂は、これからもビオディナミ・シャンパーニュの未来を切り拓いていくといえるでしょう。