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大山に蔵を構える渡會本店は、極寒の豪雪地帯で今も寒仕込みでの酒造りを貫いています。収穫された酒米は、蔵人にゆだねられ、理想の味に近づけるため、磨き込まれます。精米された米は、枯らしという期間を経て、いよいよ仕込みに入ります。冬の訪れとともに始まり、寒の厳しさを活かし、それに即した仕込みをする寒仕込みは昔ながらの手法です。

大山に蔵を構える渡會本店は、極寒の豪雪地帯で今も寒仕込みでの酒造りを貫いています。収穫された酒米は、蔵人にゆだねられ、理想の味に近づけるため、磨き込まれます。精米された米は、枯らしという期間を経て、いよいよ仕込みに入ります。冬の訪れとともに始まり、寒の厳しさを活かし、それに即した仕込みをする寒仕込みは昔ながらの手法です。
特集和酒
江戸時代には「東北の小灘」と称されるほど、酒造りで栄華を極めた町、山形県鶴岡市大山。最盛期には四十数軒の酒蔵が軒を連ねた酒処です。この地で江戸初期の元和年間から390年余の歴史を刻む日本酒蔵、それが渡會本店です。渡會家は、皇大神宮の鎮座する伊勢国 度会郡より出羽国 大山村に移住して以来、良い水、良い米、良い気候と三拍子揃った出羽の地で、伝統の技と変革の知恵により妥協を許さない酒造りに徹しています。
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万年雪が地中に溶け、ゆっくり地下を通って自噴する伏流水と最上川などの豊かで良質な水源に恵まれています。

山形県鶴岡市は、庄内地方の発展に大きな役割を果たしてきた城下町です。日本海に面して広がる庄内平野の南部に位置しています。日本有数の穀倉地帯である庄内平野は、古くから稲作を中心とした農業が盛んで、今も品種改良や農業技術の向上に努める土地です。また、日本有数の豪雪地帯である朝日連峰に囲まれた緑豊かな地であり、万年雪が地中に溶け、ゆっくり地下を通って自噴する伏流水と最上川などの豊かで良質な水源に恵まれています。
鶴岡の郊外にある大山地区は、江戸時代に天領(江戸幕府の直轄領)と呼ばれた土地で古い歴史を持ち、数多くの歴史的建造物が現存し、当時の栄華を偲ばせます。酒造りに理想的な地理的条件を活かし、江戸時代初期から本格的な酒造りが始まりました。また、江戸幕府直轄という背景と江戸中期からの北前船による「沖だし」(国内回船移出)により、最上川を通して下流の酒田港へ、さらにそこから上方に運ばれ、酒造りは隆盛を極めました。

杜氏が一本一本時間をかけて醪(もろみ)と対話しながら、妥協を許さない丁寧な造りを実践します。

大山に蔵を構える渡會本店は、極寒の豪雪地帯で今も寒仕込みでの酒造りを貫いています。収穫された酒米は、蔵人にゆだねられ、理想の味に近づけるため、磨き込まれます。精米された米は、枯らしという期間を経て、いよいよ仕込みに入ります。冬の訪れとともに始まり、寒の厳しさを活かし、それに即した仕込みをする寒仕込みは昔ながらの手法です。気温が低いことで雑菌も繁殖しにくく、また低温発酵でじっくりと醸すことにより、肌理こまやかでキレのある酒質を引き出します。仕込みでは、まず米を洗い、水に浸けて水を吸わせる浸漬を行いますが、肝心なところは人の感覚に勝るものはないという考えで、すべての酒米を手洗いします。もちろん、米洗いに使う仕込み水も月山朝日山系花崗岩地層を流れる清浄水です。また、「一麹、二酛、三造り」と伝えられる酒造りの工程のなかで、酒造りの一番目の鍵となる麹造りでは、蓋麹法で手間を惜しまず二昼夜寝ずの番をします。さらに、一日おきに一本を仕込む半仕舞を取り入れ、杜氏が一本一本時間をかけて醪(もろみ)と対話しながら、妥協を許さない丁寧な造りを実践します。季節とともに蔵入りする南部杜氏への依存を止め、酵母培養を務めてきた社長・俊正氏とともに、長男・俊仁氏が杜氏を、そして実弟・俊男氏が製麹の責任者として酒造りの現場に入り、蔵人が一丸となり徹底的なまでに酒質の向上を目指します。
渡會本店の大正時代からの代表銘柄「出羽ノ雪」、これに次ぐブランドとして2004年に立ち上げられたのが「和田来」です。蔵の名前をもとにしながら、鶴岡を中心とする庄内平野の広大な「田んぼ」の恵みのお米で醸した地酒で、「和み」が「来る」ことを願い命名されました。

お米をしっかりとかして旨味を十分にお酒に移すのが、生酛造り。同じ米でも造りが変われば違う味が醸されます。

渡會本店で開発され、プライベートブランド商品として2014年2月より発売を開始した銘柄が『和田来 生酛純米』です。
あらかじめ蒸米に水と米麹を混ぜたところに酵母を加えて培養させ、大量に増殖させたものを酒母、酛(もと)と呼びます。発酵に入る前の大切な工程で、文字通りに酒のもととなるのですが、この造りは大きく2つに分類されます。一つは、手間を簡略化し、乳酸を添加して短期間で造る速醸系、もう一つは、天然の乳酸菌の力を借りて乳酸を生成し、手間暇かけて力強い優良な酵母だけを純粋に育て上げる生酛系です。この『和田来 生酛純米』は、名が現すとおり生酛造りで醸されます。杜氏であり専務の渡會俊仁氏は、「生酛造りでは、善良な乳酸菌を取り込むための仕込み温度が重要です。低温の7〜8℃で仕込み、この1℃の間に納めることに気を遣います」と造りの難しさを、味わいについては「ワインでいうと、生酛は赤ワインで吟醸は白ワイン。お米をしっかりとかして旨味を十分にお酒に移すのが、生酛造り。同じ米でも造りが変われば違う味が醸されます」と語ります。じっくり一ヶ月以上の時間をかけるだけでなく、自然の力と杜氏の経験と技の結晶が生酛造り。その酒母から生み出された酒は、コクや旨味成分が引き出され、淡麗でありながら深い味わいとなります。

日本酒の魅力は合わせるものの魅力を最大限に引き出すことです。合わない料理を見つける方が難しい。

『和田来 生酛純米』は、田の恵みの米にこだわり、山形県のオリジナル米、出羽きらりを主に仕込みました。エチケットの色は、朝日山系のブナ林の緑と万年雪の白、そして稲穂の色と田に注ぐ水のイメージであり、ディオニーのコーポレートカラーのモスグリーンを選びました。生酛造りで生まれたこのお酒は、際立つフルーティーな香り、ヨーグルトのようなまろみのある酸味、そしてキレの良さと米の旨味たっぷりのボディが特徴です。冷たい料理には冷や酒として、温かい料理にはお燗でお飲みいただきますと、料理の味を引き立て、食卓をよりいっそう楽しくします。山海の幸がともに楽しめる庄内地方のお酒だけに、山の幸、海の幸との相性が良いのはもちろん、チーズやステーキとの組み合わせも楽しめる幅の広いお酒です。「日本酒の魅力は合わせるものの魅力を最大限に引き出すことです。合わない料理を見つける方が難しい。日本人は農耕民族、そして日本酒は農業製品です。米と日本酒は日本の誇り、日本酒をもっと気軽に楽しんでください」渡會俊仁氏からのメッセージです。