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ボルドーの注目生産地アントル・ドゥ・メーヌで半世紀前から無農薬栽培を続けるビオディナミ生産者、カステル ヴィエイィ。大地そのものの生命力を高めるという考え方で造り出す『カステル ヴィエイィ』の味わいは、野趣に満ちて果実味溢れる

ボルドーの注目生産地アントル・ドゥ・メーヌで半世紀前から無農薬栽培を続けるビオディナミ生産者、カステル ヴィエイィ。大地そのものの生命力を高めるという考え方で造り出す『カステル ヴィエイィ』の味わいは、野趣に満ちて果実味溢れる
特集ワイン
ボルドーで半世紀前から無農薬栽培を続けるビオディナミ生産者、カステル ヴィエイィ。ボルドー全域でも稀少なビオディナミストでアントル・ドゥ・メール地区では、なんと2生産者のみ。ミカエルは言う「マーケットの戦略上、有機栽培にする人もいるが、商業的思惑のビオは意味がない。私たちは、おいしく健康的なワインを造るため、畑を取り巻く生物たちとともに生きる」
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ボルドーで半世紀前から無農薬栽培を続けるビオディナミ生産者、カステル ヴィエイィ。アントル・ドゥ・メール地区では、なんと2生産者のみという超少数派。

ボルドーの稀少なビオディナミスト

フランス南西部の大西洋沿いに位置し、名だたる銘醸ワインを擁するボルドー。ボルドーのワイン産地は、大西洋に注ぐジロンド河とその上流の二つの大河ガロンヌ川とドルドーニュ川の周辺に分布しています。このカステル ヴィエイィ・ラサルは、ガロンヌ川とドルドーニュ川に挟まれた大きな三角州一帯のアントル・ドゥ・メーヌ(2つの海の間)と呼ばれる地区の小さな村カステルヴィエルにあります。ドメーヌの歴史は、1920年にレオン・ジョーマンがカステルヴィエルに居を構えたことから始まります。アントル・ドゥ・メーヌは、今でこそワインの質が飛躍的に向上したとして注目を集める産地ですが、メドックやサンテミリオンのように一流として名の知れた産地でもなく、土地が肥沃なため野菜の栽培や家畜を飼育する傍らでブドウを栽培する農家が多い土地でした。先代のレオンも同様に、この地で麦・タバコの栽培、そして豚・牛・ロバなどの家畜を飼う農家でした。その息子で農業技師となったモリッスは、1961年にブドウの樹を植えることを決意。当初より農薬など化学物質を一切使用しない、環境に優しいビオロジック農法を取り入れました。それは、農薬や化学薬品が人体や生態系にダメージを及ぼすこと、そして残留農薬による人体への影響を考慮してのことです。さらに2003年には、ビオディナミ農法へと転換、現在はレオンのひ孫にあたる4代目のミカエルと妻エレナが中心となり意欲的にワイン造りに取り組んでいます。

ブドウに栄養を与えるということではなく、大地そのものの生命力を高めるという考え方で畑の作業に取り組む。

大地の生命力を高めてこそ

カステルヴィエルは、ジロンド県の中で2番目に標高の高い村です。気候は、海洋性気候でメキシコ湾流が温暖な気候をもたらします。雄大な丘の斜面に広がる畑は、真南向きで日当たりが良く、粘土石灰質の土壌です。夏は、極度の乾燥のため土壌が深くひび割れ、ブドウ樹は地下に蓄えられた水を求め地中深くまで根を伸ばします。ただし、ブドウ樹の生育が困難になるほどの乾燥は好ましくないため、雑草の茂り具合をコントロールすることにより、水分の蒸散を防ぎ、過度の乾燥から守ります。カステル ヴィエイィは、除草剤や化学肥料、加えてボルドー液も散布せず、できるだけ手を加えない栽培を心がけます。単なる有機栽培に留まらず、地球と植物のリズムを考えて、自然のパワーを取り入れることで、土地や植物の活力を最大限に引き出す、生力学農法(シュタイナー農法)を実践しています。この農法は、植物に栄養を与えることではなく、大地そのものの生命力を高めるという考え方に基づいています。

おいしく健康なワイン造りは、土・空気・水・植物・生きとし生けるもの、すべてが共生しうる環境づくりから。

畑を取り巻く生物たちとともに

畑の作業には、植物性のコンポスト、そしてカミツレ、タンポポ、ノコギリ草などの植物、粉末状にした水晶などの鉱物、牛糞・角などの動物由来のものを調合した調剤をベースとして、病気の耐性を強化するホメオパシー(代替治療の一種)のレメディー療剤を加えて、希薄化した溶液を攪拌し散布します。これによりブドウ樹のパワーがさらに高まり、大地の感受性を豊かにします。作業は月のサイクルに準じて行い、土・空気・水・植物・生きとし生けるもの、すべてが共生しうる環境づくりを目指します。ビオディナミ農法での栽培は、大変な手間と時間のかかる作業で、決して効率的ではありませんが、こうして育まれたブドウは生命力に満ちています。ミカエルは、化学肥料と農薬を用いる農業に意を唱え、ソーテルヌのビオディナミ生産者たちと協力し、一切の化学薬品を使用しない栽培・醸造を目的とした「Biodynamique de Gascogne(ビオディナミックドガスコーニュ)」という組織を立ち上げ、農業や人智学について研鑽を重ねています。

ワインは栄養のある食べ物であり、ハーブティーのようにリラックスできる飲み物…だから、できる限り手を加えずピュアなものを造りたい。

眠れない夜にはグラス一杯のワインを

ジョーマン家には、「眠れない夜にはグラス一杯のワインを」という教えがあるほど。ワインは栄養のある食べ物であり、ハーブティーのようにリラックスできる飲み物という位置づけです。ですから、できる限り手を加えないピュアなワイン造りにこだわります。醸造において唯一添加するのは、火山から生まれた天然硫黄のみ。最低24ヶ月の熟成期間を設け、ワインを育てるようにじっくりと、時間をかけて骨格を与えていきます。アロマ、フレッシュさ、繊細さを保つためにフィルターも使用しません。こうして出来上がったワインは、純粋なる大地のパワーを感じさせ、口当たり良く野趣に満ちた味わいに仕上がります。その味わいは、漬け込んだ黒皮のベリーや煙草の香り、クローブやナツメグなどのスパイス、温かみとよくなじんだタンニンを心地よく感じる飲み心地です。ワインには、ビオのTCA(ブショネ、カビ臭の原因となる物質)除去プロセスをかけたDIAM社製コルクを使用。2004年からは、酸化防止剤無添加のワイン造りにも挑戦し、特別キュベとしてリリースしています。