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ロワールの注目生産地クール・シュヴェルニーで稀少な土着品種ロモランタンをフィリップ・テシエが自然な造りで醸したヴァン・ナチュレル。味わいからあふれるピュアでしっかりした果実味は、造り手の良心の結晶『クール・シュヴェルニー』

ロワールの注目生産地クール・シュヴェルニーで稀少な土着品種ロモランタンをフィリップ・テシエが自然な造りで醸したヴァン・ナチュレル。味わいからあふれるピュアでしっかりした果実味は、造り手の良心の結晶『クール・シュヴェルニー』
特集ワイン
ベルギーの漫画家エルジェが「タンタンの冒険旅行」で描いた、美しい白亜のムーランサール城。この城のモデルがロワール地方に実在するシュヴェルニー城なのは、有名な話です。このシュヴェルニー城から程近い、広大な森に囲まれた環境のなかで自然のサイクルを基本としたブドウ栽培を実践する造り手がいます。それが、フィリップ・テシエです。
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自然と美食の宝庫ロワールで、郷土を深く愛し、本当に優れた品質のワインを伝えたいと願う、造り手フィリップ・テシエ

自然と郷土愛あふれる美食の地、ロワール

15〜16世紀に建てられた王侯貴族のシャトー(城館)が数多く残るロワール河流域。トゥールとオルレアンの中間に位置するブロワの南東部、古城に沿うようにロワール河とソローニュの森の間に広がる栽培地が、シュヴェルニーです。深い森の中に小さな湖が点在する美しい自然に恵まれた地域で、昔から狩猟の盛んなことでも知られます。ロワール河流域は、温和な気候と肥沃な土地に恵まれた場所ですが、ブドウの栽培をおこなうシュヴェルニーのテロワールは全体的に非常に痩せているのが特徴です。シュヴェルニーに囲まれるように中心部に位置するのがクール・シュヴェルニーです。1962年、フィリップ・テシエの両親がこの地に土地を購入。ブドウ栽培をするかたわら、ホワイトアスパラガスなどの農作物の栽培に取り組みました。1981年にフィリップが家業を受け継ぎドメ—ヌを設立し、ワインの醸造にも力を注ぎました。現在では、実直で肩肘張らない人柄と職人的な感覚、そして郷土への愛の深さから多くの生産者たちから信頼され、ティエリー・ピュズラ、クリスチャン・ショサールらと組織化するトゥーレーヌ地方の自然派ワイン生産者のグループ「les vin du coin(レヴァンドコワン)」の代表を務めるに至りました。

自然のサイクルに合わせて栽培された稀少な土着品種・ロモランタンが完熟期を迎え黄金色に輝くのを待ち、手で収穫する

黄金色に輝く、幻の土着品種・ロモランタン

『クール・シュヴェルニー』のワインは、今は幻ともいえる土着品種・ロモランタンで造ります。クール・シュヴェルニーのA.O.C.(原産地統制呼称)を与えられる生産地区のワインは、ロモランタン種のブドウだけで造られ、ほかの品種をブレンドすることはできません。ロモランタン種は、今はこのシュヴェルニー地区が産地ですが、フランス全土でも60ヘクタール程でしか栽培されておらず、非常に稀少な品種といえます。歴史を遡ると、1519年、ロモランタン村周辺に植樹するためにブルゴーニュから8,000株の苗木を取り寄せたフランソワ1世によりこの地に持ち込まれたのが始まりです。その後、消滅傾向に陥りましたが、1993年A.O.C.に認定されるとともに、その味わいゆえ再復活しました。フィリップは、土着品種のロモランタンを心から愛し、後世に残したいという気持ちで、自然の宝庫であるロワールのミクロクリマ(微気候)のなかで自然のサイクルに合わせた栽培をします。自然環境の保護も考慮にいれ、早い段階で有機栽培に切り替え、1998年からはビオロジック農法を実践し、エコセール認証を受けました。ワイン造りにおいて、まず大切なことは、健全で良い状態のブドウを作ることだと考え、土中の微生物が元気に活動できる環境作りのため、熱心に畑の仕事に励みます。ロモランタンは高収量の品種のため、味わいに個性と凝縮感を表現するために収量を制限することが重要です。成熟の遅いロモランタンが黄金色に輝く完熟期を待って、手摘みで収穫を行います。

ヴァン・ナチュレルは、ブドウの個性はもちろんテロワールとヴィンテージ、そして人の営みが色濃く表現されるワイン

ワインの個性は、天と地、そして人の営み

フランス語で自然に造られたワインという意味の言葉が「ヴァン・ナチュレル」です。それは、ブドウを有機で栽培するだけに留まらず、さらに踏み込んで醸造の工程でも可能な限り添加物を加えずに自然な造りを実践するという考え方です。収穫されたブドウは小さな箱に入れ、ダメージを与えないよう大切にドメーヌに運び込みます。ロモランタンは、除梗をせず房の付いた状態のまま、発酵タンクに入れ、時間をかけてゆっくりと発酵させます。その際、SO2(酸化防止剤)などの添加は行いません。発酵時には、五感すべてを使ってワインと対話し発酵の様子を確かめます。ロモランタンの個性である酸味と強靭なミネラル感を穏やかでまろやかに仕上げるために、マロラクティックにて発酵させます。ゆっくり発酵させることで、澱の旨味と複雑味が引き出され、かつ優しい味わいのワインに仕上がります。ヴァン・ナチュレルは、ブドウの個性はもちろんテロワールとヴィンテージ、そして人の営みが色濃く表現されるワインです。自然で優しく、味わい深いワインを一人でも多くの人に届けたい、その豊かさを共有したいというのが、フィリップの考えです。

ヴァン・ナチュレルの優れた品質とピュアで滋味深い味わいを体感すればそのおいしさに魅了されるはずと語るフィリップ・テシエより日本の皆さんへ

フィリップ・テシエより日本の皆さんへ

フランスのワイン雑誌でも高評価の『クール・シュヴェルニー』は、トロリとした触感さえ感じさせる独特な果実味が魅力です。アカシアの蜂蜜の香りの奥に、控えめながら金木犀のような黄色いお花畑が広がるフローラルで香り豊かな白ワインです。口に含むとロモランタンの酸とミネラルがバランスよく広がり、フレッシュ感とふくよかさや奥深さを感じることができます。フィリップはいいます「ワインといえば、ブルゴーニュやボルドーばかりが重宝される傾向にありますが、ヴァン・ナチュレルの世界に境界線はありません。食事との相性も良く、寄り添うワインといえます。和食では、生牡蠣や蟹との相性が最高でした。このワインは、私のようです。ヴァン・ナチュレルは、毎年個性の違う味わいになりますが、奥行きが深く、飲めば素直に身体にしみ込んでいくのが魅力です。ぜひ難しく考えずに、ヴァン・ナチュレルを味わってみて下さい。きっと、あなたもその優しい味わいに魅了されるはずです」