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ミランの醸造所に飾ってある絵画。彼の畑から見える景色を絵にしたもの。醸造所からは見えない景色に思いを馳せる…この絵からもワイン同様、彼の感性を感じたのである。

ミランの醸造所に飾ってある絵画。彼の畑から見える景色を絵にしたもの。醸造所からは見えない景色に思いを馳せる…この絵からもワイン同様、彼の感性を感じたのである。
特集ワイン
ブドウ栽培から醸造、ボトリングにいたるまで、ケミカルなものはいっさい使用しない。それは、ブドウ本来の味わいを尊重するため。 そして自然環境を考慮し、テロワールの表現に集中する。 農産物であるブドウをワインという芸術品に変える造り手がいる、アンリ・ミランその人である。
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判事の道からワイン醸造家へ

現当主であるアンリ・ミランが判事の道ではなく、家族で住んでいたこのシャトーからおいしいワインを生み出したいという想いでワイン醸造に専念しようと決意したのは、1986年のこと。当時ワインを大量に飲むと頭痛に悩まされていたアンリは、原因を追求し、オーガニックワインではその症状がでないことに気付きます。その問いかけが、身体を決して疲れさせず、味わいも優しいワイン、それは「ビオ」という答えを導きました。ブドウの収量を減らしながら、ロワールのクロード・クルトワ氏やクロ・ルジャール氏と親交を深め、醸造やおいしいワインについての研鑽(けんさん)を重ねました。

地中海の豊かな恩恵を受ける

フランス最古のワイン生産地、プロヴァンス。プロヴァンスの中心的な都市アヴィニョンから南に約20キロ、アルピーユ山脈の麓に広がるワイン銘醸地がレ・ボー・ド・プロヴァンスです。ドメーヌ・ミランは、プロヴァンスの魅力をすべて備える中世からある古い町、サン・レミ・ド・プロヴァンスにあります。画家ゴッホを魅了したこの田舎町は、プラタナスの並木道、糸杉、オリーブ畑など、今も自然に囲まれ静かな時間が流れます。この地は、豊かな日照量と乾燥した地中海性気候の恩恵により、魅力溢れる南仏ワインを生み出します。


ブドウは、ワイン発酵後の自家マール(ブドウの搾り粕)を蒸留所へ持ち込まず、直接畑へ運び込み、有機肥料として利用する循環農法で栽培します。これは、ロマネ・コンティと同じ方法で、フランス政府の許可を得ています。マールの有機肥料は、その育った環境で循環させてこそ、自然酵母を活発に増殖させることができます。バラエティに富む自然酵母が宿る土作りを行うことにより、ブドウは本来持っている生命力や強さを高めることができるのです。ブドウは、収量を抑えることで、土壌からの旨味と凝縮感をもたらします。収穫は、完全に熟すのを待ち、手作業で行います。【土壌:青泥土および粘土石灰質土壌】


ワイン醸造は、シュール・リーで木樽熟成し、ノン・フィルター、ノン・コラージュで瓶詰めします。瓶詰めは、月の満ち欠けによって決定し、重力に従って行います。アンリのワインは、テロワールの特徴や昔ながらのワインの旨みや複雑味が感じられます。ルビーをほうふつさせる奥行きある色調、南仏らしいパワフルさのなかにエレガントで滑らかな口当たり、しっかりした酸味のあとに広がる奥行きのある味わいで、長期熟成向きのワインです。醸造に関して抜群のセンスを持つアンリ・ミラン。芸術家気質が生みだすワインは、私たちの味覚を目覚めさせる仕上がりです。

私は、ワインの造り手であり、皆様と同じワインの愛好家でもあります。ワイン造りに本格的に取り組む前からオーガニックワインの味わいが人の感覚・感性に健全に働きかけるということを体験し、理解していました。私は、ワインを固定観念ではなく、一緒に仕事をするスタッフの自由な発想や表現から創造します。かといって、ワインのモードに興味がある訳でなく、影響されることもありません。ワインは日々変化する飲み物であり、私はその捉えどころなく流動的に広がる世界に惹かれ、そこからおいしいワインを造りだす楽しみを感じます。私にとっておいしいワインとは、ウンチクをいいながら飲むワインではなく、もっと直感的で、香りを利いて口に含んだときに「あ、お腹が空いてきた、食べたい」という欲を起こさせるものです。美しい女性に心惹かれるのと同じように、五感で感じることができ、皆さんの感性・本能のアンテナに訴える感覚を持つもの……私は、そんなワインを皆さんにお届けしたいと思っています。