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美しい星「地球」をこれ以上汚さない一歩になれば……との思いを込めて『リヴィングアース』と名付けた有機栽培葡萄100%オーガニックワイン。

前田豊宏のプロフィール
ディオニー(株)取締役社長。知る人ぞ知るワイン業界のちょいワルオヤジ。その風貌とは裏腹にワインと向き合う姿は紳士そのもの。味への妥協なき追求も特筆に値する。ワインへの造詣も深く、ソムリエとしても手腕を発揮。
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インタビュアープロフィール
ワインショップ『pcoeur(ピクール)』店主。ブランド志向の20代を過ごし、30代半ばにして本当の心の豊かさを求め、シンプルライフに目覚める。映画会社、レコード会社、出版社などを経て、プロモーター、エディターとして活動。
// Office AIW // オフィス アイダブリュー

モーレル・ヴドーとディオニーの思いは、ワインとエコの両立……環境問題にもカラダにもお財布にも優しい旨安ワイン。

ワインとエコを両立させる

国際的にもエコに関する意識が高まるなか、私たちディオニーでも何か貢献できることはないのか……。その想いが、形になりました。今回は、装いも新たにリリースされた『リヴィングアース』での、ディオニーの環境問題への取り組みについてお伺いします。

— まず最初に、『リヴィングアース』との出会いについて、お聞かせ下さい。

前田(以下 M):実は、今でこそビオワインがディオニーワインの主流になっていますが、ワインのインポーターを始めて、2002年もおいしいワインを探し求めて蔵巡りをしていました。おいしさに驚いたワイン……それが、初代『リヴィングアース』だったんですね。その味わいは、ブドウそのものの生命力や造り手たちの温かさをダイレクトに感じることができて、やっぱり自然なワイン「ビオワイン」は、おいしいと確信した私たちは、速攻でこのワインの仕入れを決めました。それがディオニーとビオワインとの出会いになります。自然環境に優しいワイン造りを行い、かけがえのない健全な大地を次世代に引き継ぎたいという想い、そしてその想いを世界に発信して共有していこうという気持ちが『リヴィングアース』という名前に込められていたんだなぁと。

— ではなぜ、そんな『リヴィングアース』の販売を中止していたんですか?

M:初代『リヴィングアース』の販売を休止していたのは、やむ終えない事情があったからなんです。というのは、大ヒットのワインでしたが、悪天候のため、どうしてもごく微量の農薬を使わざるをえなくなり、一旦泣く泣く終売したという経緯があります。『リヴィングアース』第二弾の発売に至ったのは、年月を経て、現在は認証が獲れる状況にまで回復したため、この商品の再発売を決断しました。ビオワインを取り扱うようになり、ビオディナミの生産者たちから「農薬を使うことによって、植物連鎖がストップしてしまったり、化学肥料を使うことで、地球、そして人間にとって重要な水が汚染されてしまうことになる」というような話しを聞くにつれ、生産性を重視し化学肥料に過度に依存した近代農業が、地球環境に及ぼす影響は深刻だということを痛感し、ワイン造り・農業が、環境汚染の元凶になってはならないという思いが、日々募っていました。私たちが、「ビオワイン」を扱うのは、そのワインが広まって、農業が環境保全型・ビオの方向に変化していく一助になるのではないか、そうなって欲しいという想いからです。しかし、ワインがビオでも、私たちが存在して、ワインを販売することで、空き瓶やコルクなどが大量に発生してしまうという、環境にとってのマイナス要素は担ってしまうという側面もある訳です。その分、少しでも貢献できることはないだろうか……と考えていたんです。この商品を再発売するにあたって、環境問題について一緒に考えようという想いを、ワイン愛飲家の方々にも、もっと広めていきたいという思いから、幅広い層の方に楽しんでいただくために、販売価格をさらに下げてご提供できるよう改良を行い、装いを新たに二代目『リヴィングアース』をリリースしました。

— それでは、『リヴィングアース』のエチケットを学生から公募したのは、どのような経緯があったのでしょうか?

M:これも、環境問題のことを考える輪を広げていきたいという考えの一環なんです。弊社には、京都芸術デザイン専門学校の卒業生も在籍しており、インターンシップも毎年受け入れているという関係もあって、環境問題について学生たちにも広めていきたいという思いに賛同して下さった先生方が、環境のことをプレゼンテーションする機会を与えて下さいました。地球のことを考え、さらには彼らがデザインした作品が商品になる良い機会になるのでは……という考えで、このプロジェクトは計画されました。18歳から20歳というまだ飲酒できない年齢の学生たちでしたが、環境とワインの結びつきを考えて一生懸命デザインしてくれました。約50名の学生がその授業を聴講してくれて、出来上がってきたエチケットのなかで、最終的に選ばれたのがこのエチケットです。「地球」をイメージした丸いエチケットをベースに、三本のラインは「大地」の力強さを、「色合い」と「幾何学模様」は味わいを表現してくれています。それぞれのワインの個性がエチケットに素晴らしく表現されていますよね。

— 『リヴィングアース』では、環境保護団体に寄付を行っているということですが、その取り組みというのは、どのようなものなんですか。

M:環境保護について広めていくという活動以外に、もっと私たちがお役にたてることはないかということで、環境に従事している団体に寄付したいと考えるようになりました。私(前田社長)も大西(専務)も30年来、趣味で波乗りを楽しんできました。三重県の国府浜がホームポイントなんですが、そこは昔から関西のサーファーのメッカなんです。そのポイントに最初に行った頃には、テトラポットは海に1つしか入っていなかったのが、今は浜の半分くらいがテトラポットに占領されています。見るも無惨な状態になっているんです。護岸活動という名のもとに、不必要な場所にテトラポットを入れていたりします。砂浜も減ってきている。そんな状況を見るにつけ、母なる海が悲鳴をあげていることに心を痛めていたんです。そんな時に、出会ったのが「*SFJ(サーフライダー・ファウンデーション・ジャパン)」でした。「SFJ」は、サーフィン、ボディーボードをするものの立場から環境問題を考える団体です。まずは、自分たちが日頃痛切に感じている海辺の環境保護の必要性、海辺の環境を守るということに共感し、草の根活動をしてる団体に寄付をしたいという思いで、「SFJ」のサポートを決めました。環境の回復・保護のため、想定小売売上金額の1%の寄付を行います。これからも、そのような活動を広げていきたいと思っていて、環境保護活動に目を向けた敬重をしていきたいと考えています。