Home > 特集記事 > 注目ワイン特集 > リースリング・ツェレンベルグ

特集ワイン
恵まれた自然のなかで育った健全なブドウが造るワイン。 初夏、マルク・テンペの畑の土からはなんとも言えない深い土の香りがします。 雑草も元気に生い茂り、ブドウの樹にはカタツムリ、根元にはミミズの穴も… そう、この畑はビオディナミ。健全なブドウの畑は、虫たちも知っているのです。
「  リースリング・ツェレンベルグ」の関連記事
「 リースリング・ツェレンベルグ」に関連するワインや特集記事へのリンクです。ぜひ、目を通してください。
お問い合わせ先
京都:075-622-0850/東京:03-5778-0170
お問い合せフォームへ

醸造専門学校を卒業後、大手ネゴシアンで醸造に携わる。その後11年間勤めたINAO(原産地呼称国立研究所)では、生産者の醸造コンサルタントを務め、のちアルザス地区のグランクリュ制定を任されるほど、アルザスの地質を知り尽くす実力を持ちます。 1993年に家業を継ぎ、念願のドメーヌ・マルクテンペを設立。自然農法への転換に3年を費やし、1996年からビオディナミ農法で栽培しています。現在では、ゴーミヨー四つ星掲載など、フランス国内では高い評価を獲得している注目の造り手です。


手摘みで大切に収穫したブドウは、房、茎をつけたまま優しく3、4時間かけてプレス。時間をかけるのは、丁寧に少量ずつ搾り、キレイな果汁を採ることを目指しているからです。プレスしたジュース・ワインは、木製のフードルという大きな樽に入れ、2年間ゆっくり熟成させます。醸造・熟成中は、ワインにストレスをかけないように、ほとんど動かさないよう努めているとか。瓶詰めは、澱引きをせず、無濾過で行ないます。そのためワインが少し濁って見えるのですが、これはブドウの持つ本当においしい要素を一緒に瓶詰めしたいという思いからです。もちろん補糖、酵母、酸などの添加は、一切ありません。


フランス北東部に位置し、ドイツとの国境に接するアルザス地方。ここは、フランスにおけるビオディナミ発祥の地です。ブドウ畑は、ライン川に面したヴォージュ山脈の麓、東斜面にあります。シャンパーニュ地方と同じくらい北に位置していますが、ヴォージュ山脈が偏西風を遮るため、気候は温暖。乾燥した地域で、南向きの夏の畑は「目玉焼きが焼けるほど」暑いといいます。ドメーヌ・マルクテンペは、アルザス中心部コルマールから約7kmほどの南西向きのツェレンベルグ村にあります。ツェレンベルグの畑は、標高220m、粘土石灰質をベースに花崗岩や黄色みがかった細かい石灰の混じる多様性のある土壌です。太陽の光を一杯に浴びたリースリングは、糖度が充分にのり理想的に完熟する9月に収穫されます。「健全なブドウを造り、テロワールの個性を最大限引き出す」というテンペの思想を反映した、ミネラル感たっぷりのリースリング・ツェレンベルグ。ドメーヌ・マルクテンペの数あるワインのなかでも、コストパフォーマンスNo.1の商品です。色合いは、黄緑がかった深いゴールデンイエロー。それは例えるとレモンが色づくまえのよう…。そして香りは、完全に熟したレモンやパッションフルーツ。優しいけれど酸とミネラルがのりふくよか、果実味が口いっぱいに広がり飲みごたえのある味わいをぜひご堪能あれ!


私、マルクテンペと妻のアンヌマリーはブドウ栽培の協同組合に生まれ、ブドウとともに育ち、ブドウを愛するようになりました。私が優れたワインを造りたいと思うとき、ビオディナミ以外の道を選ぶことは考えられませんでした。この農法は人と大地とを一体にし、自然と私たちを引き継ぐ世代を守る方法でもあります。そしてそれは単なる技術ではなく、生きるための哲学でもあるのです。ビオディナミは、地球の産物とそこに生きるものすべてを左右する絶対的な力を持つ自然に従う農法です。これは畑やブドウ栽培地も自然の一部であると考え、農薬や除草剤などの化学的な対処法を穏やかに廃するものです。テロワールの個性を(ワインを通じて)語るには、ビオディナミ農法はなくてはならない存在です。そうして育ったブドウから仕込んだ私たちのワインは、複雑なアロマとミネラルを、すなわちその土地の土壌の豊かさや独自性を体現していると思います。