— 私は、今までワインを飲むと、頭が痛くなることがあったんです。それで苦手意識を持ってしまったんです。でもディオニーさんの自然派ワインでは、嘘のように頭が痛くなりません。これは酸化防止剤が少ないことと関係があるのでしょうか?
O:はい、医学的に実証されている訳ではないのですが、自分の体で実証済みです(笑)。翌朝の目覚めが爽やかです。自然派ワインの酸化防止剤(亜硫酸)の量は、非常に少ないんです。これはもちろん人体に影響のないレベルのものです。ビオワインが臭いと思われている方もいらっしゃいますが、それは澱引きをしないことで生じる還元香に抵抗があるんでしょうね。亜硫酸が全く入っていない無添加ワインがおいしいかというと、そういう訳でもないんですよ。蔵出ししてから日本のお客様の手元にワインが届くまで、最低でも二ヶ月ほどかかるんです。その間にも酵母が生きている自然派ワインは日々変化します。無添加ワインは、二ヶ月という期間に酸化が生じることもあります。微量の亜硫酸を加えるのは、現地の味をキープして、一番よい状態で日本でもワインを味わっていただくための工夫でもあるんです。ディオニーとしては、日本でワインを美味しく楽しんでいただくために微量の酸化防止剤(亜硫酸)は肯定しています。
— なるほど、自然派ワインの栽培や醸造の特徴は分かりました。ただ、こういった理論をお伺いすると、実際のところ味はどうなんだ…と思う方も多いと思うんです。私は、実際にディオニーさんの自然派ワインを飲ませていただいて、その味わいに衝撃を受けたんです。ワインを口にふくんで目を閉じると、そこには美しい自然の風景が広がります。色とりどりの花が咲き乱れる本当に美しい風景です。味わいでは、口のなかにすっと広がる果実味、自然と造り手のハーモニーがストレートに伝わってくるような心地よさを覚えました。例えると、母の作った愛情いっぱいの食事のような…。ワインを口に入れるたび、自然に頬も緩んでくるんです。好奇心もあるんですが、造り手さんたちがどのような思いでワインを造っているのかも気になってきます。どんな思いで自然派ワインを造っているんでしょうか?
O:これが面白いことに、共通した思いでワインを造っているんですよ。恵まれた自然のなかで苦労をして、健全なブドウを造る。そして、そのブドウを尊重してワインを造っています。それぞれが本当に情熱をもって取り組んでいます。その土地土地の味わいを表現したワイン、そのブドウの良さを最大限に引き出すワインを作りたいというのが共通した思いではないでしょうか。